2011年9月22日木曜日

世界がもし100人の村だったら 【3】 たべもの編 

世界がもし100人の村だったら

村びと100人のうち
33人は
ビタミンやミネラルが足りないために、
思うように動いたり
遊んだりできません。

100人のうち
太りすぎの人は、15人です。




世界がもし100人の村だったら

1年のあいだに
75人は、20キロの
25人は、80キロの
肉をたべています。


村ではこれまで
肉類をたべるかどうかは
風土や文化によりさまざまでした。
でもいまは、お金があれば
だれもがたべるようになりました。



1人が1年にたべる肉は

インドでは、5キロ
中国では、45キロですが、

イタリアでは、80キロです。


1年が1年にたべる卵は

インドでは、30個
アメリカでは、174個

日本では、226個です。


家畜のえさは穀物です。

肉や牛乳や卵をたべるということは、
穀物を食べるということです。

たとえば、1キロの牛肉をたべると
11キロの穀物をたべたことになります。




たべものをつくるには
たくさんの水がいります。

村でつかわれる水の
70%は、農業につかわれています。

1キロの米をつくるには
4トンちかい水がいります。

1キロの牛肉をつくるには
20トンの水がいります。

牛丼1杯には、2トン以上の水がいります。


いっぽうで
16人の村びとは
料理につかうきれいな水がありません。

40人の台所には
下水施設がありません。






日本には1億2700万人の人がいますが、
日本がもし100人の村だったら

たべものの仕事にたずさわる人は
10人です。

3人が、田や畑を耕し
1人が、工場で食品を加工し
3人が、店で食品を売っています。
3人が、食堂など、外食の店で
食事のサービスをしています。
魚をとったり、養殖している人は、
0.002人しかいません。



日本の国の予算のうち
農業のためにつかわれるのは
4%です。

軍事費は
6%です。

かつて、アメリカなど5つの国は
日本が車などを輸出しにくい国にするために、
円が高くなるようにしむけました。
すると、日本はいろいろなものを
輸入しやすい国になって、
たべものの輸入がふえました。




 ヨーロッパは、せまい国がほとんどです。
でも、食料自給率は
フランスが、121%
ドイツが、99%
イギリスが、61%です。


日本の食糧自給率は
40%です。

わたしたちのからだの
60%は、

よその国の資源を使って、
よその国の人がつくった
たべものでできています。



わたしたちのたべものをつくっている畑の
70%は、よその国にあります。

わたしたちのたべものをつくるために

よその国で1年につかわれる水は

日本でつかわれるすべての水の

1.1倍です。



日本の穀物の自給率は
28%です。
砂漠の国、サウジアラビアは
29%です。
大豆の自給率は5%、
小麦も野菜も、おおかたは輸入です。

和牛の餌も
70%以上は輸入です。


もしも
日本でつくられるたべものだけで
やりくりするとしたら、

わたしたちは
1日2600キロカロリーとっているのを
1900キロカロリーに
へらさなくてはなりません。
小麦を50%
肉を90%
油やバターを90%
魚を15%へらして、
米を30%
いも類を600%
ふやさなくてはなりません。





日本のわたしたちは、食費のうち
8%を生鮮食品に
30%を外食に
62%を加工食品につかっています。

加工食品は
日本が世界一たくさん輸入しています。

加工食品には、添加物が欠かせません。
日本では
1500種類の食品添加物を
1人が1年に24キロ
たべていることになります。




日本のわしたちは
世界でいちばんたくさんの
たべのこしを捨てています。
わたしたちが捨てるたべのこしは、年に
2000万トン以上です。
世界の食料援助量は、年に
1000万トンです。



中国の賢者、老子はいいました。
「もう、これで充分だ」と思える人は、ほんとうの富を探しはじめる、と。

インドの科学者、ヴァンダナ・シヴァはいいました。

世界は、そこに生きるすべての者に食料をあたえてこそ、
持続できる、 と。





世界がもし100人の村だったら

この村でつくられた穀物を、平等に分ければ、
すべての人が、1日2800キロカロリーの食事をとることが出来ます。

もし、めぐまれた25人が、
肉や牛乳やバターをたべるのを10%へらしたら、
17人の栄養不足の人に 穀物をまわすことができます。

もし、アメリカと日本の人がビタミン剤や健康食品に使うお金を
食料不足の国ぐににまわしたら、11人が飢えずにすみます。

そんなのは夢だと、あなたはいうかもしれません。
でも、こう考えていてください。

街角のコーヒーチェーンには、
フェアトレード(公正貿易) のコーヒーも
売っているところがあります。
もしもあなたが それを飲めば、
ラテン・アメリカなどの小さな農園の農民は、
きちんとした食事ができます。

もしもあなたが、草地で育った乳牛のミルクや
国産の餌で育った牛の肉を買えば、
こんなにたくさんの穀物を輸入しなくてすみます。

また、フランスのように、
学校に飲みものの自動販売機をおくことをやめたなら、
若い人たちが、ソフトドリンクを飲みすぎて
太りすぎることもなくなります。


お金は、人気投票の手段です。

わたしたちは
より好ましい世界からやってくる
より好ましいたべものを
買うことで

より好ましい世界を少しずつ、でも確実に、力強く
引き寄せることができます。

さぁ、想像してみてください。

もしもあなたが

もう少したくさんごはんをたべたり

国産の米粉でパンや洋菓子を焼いたり

肉や卵や牛乳を少しだけへらしたり

工夫して、水道の水でおいしいお茶をいれたとしたら。

もしもあなたが

地元でとれた野菜や魚を買って、自分で料理し

旬のくだものの皮をむき

自分がたべられる分だけとりわけて

なるべくのこさないようにしたとしたら。

ごみは土にかえしたとしたら。

「ごちそうさま」の向こうには
どんな世界がひらけるでしょう?


「世界がもし100人の村だったら 3 たべもの編」 
池田 香代子+マガジンハウス   より抜粋。

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